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『自分も感動できるような美しいと思えるものを作りたい』
庭師 姫野ばら園八ヶ岳農場、八ヶ岳カントリーガーデン
黒田 良行さん
お仕事の内容は?
赤木庭園に5年いたんですが、仕事は個人だったり役所の仕事でお庭の剪定や管理をしていました。仕事としては中井さんと同じですね。
その前は、地方の美術大学の彫刻コースで副手を3年ぐらいしていました。空間にモノや素材を配置することで、その空間の意味合いが変わるようなインスタレーションというジャンルに影響を受けていました。物自体をつくるんじゃなくて空間をつくるような仕事へのあこがれのようなものが出てきたなか、結婚を機に山形から関西の方に来たんですけど、一度ハローワークに行ったところ赤木庭園の募集が載っていて、そこから働かせてもらうことになりました。
最初、ぼく関西弁がわからなかったんで何を怒られているのかわからなくて、まわりはイライラするじゃないですか。怒鳴られながら、でも何とか踏ん張っていたらそれなりにみんなが生かしてくれて、2年ぐらいかかったんじゃないかなあ、必死でした。でも、空間が変わっていくわけじゃないですか、剪定したり草刈りでも除草でも。そういう自分が手を動かしたことですごくお庭が変わっていって、しかもお客さんが喜んでくださったら、なお嬉しいですよね。バラに興味をもたれて転職を?
赤木庭園の山口町のショールームでイングリッシュローズをいれることになって、その管理をさせてもらってたんですが、知っていくとバラって面白いなあって。特に蔓バラにものすごい興味が出てきて、僕がこのまま普通に庭仕事を続けていって上手になったとしても何を軸にしていったらいいのか、ちょっとわからないところもあって、そんななかでバラに出会ったっていう感じですね。バラを軸にした庭づくりができるようなところに自分をもっていきたいというふうに思ったのが今の職場に移ったきっかけです。影響を受けたのは?
蔓バラで有名な村田晴夫さんが書いたバラの本にすごく影響されたんですよね。で、今行っているところは、その方がつくった農場なんです。今はそこと造園屋さんと両方に行ってバラの知識もつけながら庭のほうもやるという形です。これは僕の主観になりますが村田さんはバラの専門家ですがお父さんが植木屋さんということもあり、バラと造園の両方から庭を考えれた人だったのではないかと考えています。僕自身もそんなスタンスで自分にしか出来ないことを出来たらと思っています。こだわりは?
大きいことを語ると、風景として美しくないといけないと思うんですね。いくらエクステリアだけすばらしくても、そこの植栽がそれと調和してなかったら、やっぱり駄目じゃないですか。自分も感動できるような、美しいと思えるものを作れたらいいなと思うんですね。
今、原種のバラにすごく興味があるんですよ。いいなと思うのは日本のでもあるんですよ、例えばサンショウバラっていうの。暑さにもある程度強く、幹肌も美しい、樹木として使えるバラです。もっと庭でも生かしていけると思うんですよね。これからのお仕事は?
長野県原村の個人邸で蔓バラ(ポールズヒマラヤンムスク6m以上になる)が大きくなりすぎて困っているという相談があって、今年の春に移植するんですが、後ろの大きな木にからめてみませんかと提案をしてみたところ、実際にそれが通って。今はその風景が、どんな風になるのかなというのが、すごい楽しみなんですよね。そういう大きな風景を作れるというのが、やっぱりお庭の仕事の楽しみですね。
これからの目標ですが、都市にバラを提案できるようなそんな仕事ができたらいいかなと思いますね。例えばこちらの神戸なんかすごいバラが似合うと思うんですよね。さらに、大学で学んだ彫刻も活かせたらと思ってます。マニアックな分野なので、ご存知の方は少ないでしょうが日本にも素晴らしい彫刻家の方がいらっしゃいます、そういう人たちの彫刻をお庭に提案できるぐらいの、なかなか大きいことですが、バラで足場を築いてそこまでできたらいいなと思ってます。後輩へのメッセージを
自分が何がしたいのかというのをいつも考えてないといけないかなとは思いますね。剪定しながら、自分はこういう職人としてやっていくのか、それとも営業の方に何かを見出すのか、芯になるものを駆け出しの人たちは1年でも2年でも早く見つけてほしい。自分がちょっとでも特化しているものがきっと見えかくれしてくると思うんですよね、そこに迫っていく姿勢がやっぱり重要かなと。やってみたら、まずかったかなということもあるかもしれないけど、まずはそこまで向かって行くことが自分にとって素晴らしいことなんじゃないかと思います。