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『まだまだやれることいっぱいあります。まだまだ』
花き卸売業者 株式会社JF兵庫県生花
取締役 松尾 秀昭さん / 営業課長 島 竜介さん
セリが行われる水曜日に神戸中央卸売市場を訪問。
そこで働く松尾さんと島さんは花きを扱う卸売業者として生産者と買い手とをつないでいる。
「生産者さんが商品を作られて値段がない状態で委託という形で品物が到着し、
お客様に値段をつけていただいて初めて商品として成り立つ」と島さん。
セリ会場ではセリの進行役もこなす。
現在の機械セリは昨年の2月に導入された。松尾さんによると
「一般的な日本のセリは時計セリというもので、自分がほしい時に止める。
ところが、反射神経がいりますので、失礼なんですが(高齢の方が)若い人に負けてしまうんですね」。
実際、そのために代替わりも加速したとのこと。
神戸中央卸売市場では高齢のお客様が多いこともあって、
「このタブレット方式は自分のほしい単価をペンで入れていただく。
高齢の方っていうのは相場感をお持ちなので、
いくらぐらいだろうという入札にした方が早い遅いがない」ことから採用。
「非常に手ぜりをふまえたやり方で入りやすいんです」と松尾さん。
実際、この日もたくさんの方がタッチペンを片手に現役で頑張っておられる姿を目にした。
島さんもエールを送る。「本当にがんばっておられて杖をついてでも来てくれはる方があります。すごく応援したくなります」。
松尾さんも「ここは地域密着型というんですかね、お客さんがこの市場を非常に大事にしてくださっている」。
もともと島さんは青果部で野菜を扱う卸売業者だった。
向かいにある花き部を見ながら
その品目の多彩さと買参人の幅の広さ(量販店、小売店、造園業者、仲卸業者など。青果部は仲卸業者のみ)
に魅力を感じていた。機を見て迷わず転職。
当初は「パンジーのパの字も知りませんでした」と島さん。
入社から3年後、資格を取得してセリに。その頃ははまだ手ゼリで
「最初のうちは見過ごしたら怒鳴られて、物が飛んできたり」と振り返る。
「この機械ゼリは、女の子もセリ免許を取った次の週からもう売り始めてます。
値段をいれてスタート押すだけなんで、若い今からの子でもすっと入っていける」。
このように「誰でもできる環境下にあるので、(自分に)出張が入っても動きやすい」。
これを生かして近郊はもちろん、新潟、長野まで出かける。
「以前だったらモノを集めたら買参人さんが買いに来てくださるという形だった」が、「今は売っていただかないと
モノが集まらない」と松尾さん。特に鉢物の生産者はその9割が個人なので、
“売ってもらう”には何よりも日頃からの付き合いが欠かせないという。
島さんも「問われるのはコミュニケーション能力。信頼をかちとらないとこの仕事は成り立たない」と言い切る。
もうひとつ大切にしていることがある。「商品を見る」。
お客さんが買っておられる商品を見て、そのニュアンスをつかむ。
小売店舗に並ぶ商品を見る。「どういう手法で販売されているか、どんな世代、客層の方がお買い求めになるか」。
意外なものが売れたり、世代によって販売スタイルが違うところも見逃さない。
だからこそ「商品を見た瞬間、あ、これは売れる。あの人が買う」という筋が読める。
松尾さんによると、卸売業者は「昔は押しの強い“祭り男”的な要素が大きかったが、
今は長期計画のもとで組立て、分析をして生産者にきちんと説明ができる人間へ」と変わってきたとのこと。
そんなひとり島さんが今、ターゲットにしているのは大阪植物取引所。
「物量がはるかに大きくお客様の幅広いところを目指していきたい」。
そのやり方は「こういう時代だからこそ、関係性を大事にして広げていきたい」。
そして「今後入ってくる後輩たちにもそれを伝えていきたい」と考えている。
「そこに向かってとりあえず一歩ずつめざす。まだまだやれることいっぱいあります。まだまだ・・」。
さらに高みを目指す挑戦はまだまだこれから。その道筋は見えている。